Posted on 2010.01.4

有料アプリの無料化とそこで起こる事象について

先日、アプリを値下げすることに対する賛否両論があったが、僕の方針は ・基本的にはそのバージョンで出来る機能に合わせて値段をつけ、セールはしない ・機能追加のバージョンアップがあったら、その機能にあった価格に値段を上げる というものである。

これから話をするのは、12月に入るか入らないかというときについTwitterで口走った 「12月24日から30日まで僕の誕生日祝いで無料にする」という発言を実行した結果である。 おかげで高い(?)勉強代を払って、いろいろなことが見えてきた気がしたので、その話をしたい。

昨年3月からmStacksを販売しはじめて、だいたい1年になる。 このアプリをAppStoreに上げるにあたってどこかにプロモートしたりといったことは今までしていない。 AppStoreのランキングにも一度も出たこともなく、その他優秀なアプリにまぎれて埋没していったアプリの一つだと自覚している。 通常115円、前回のバージョンアップで230円、12月24日から30日まで無料 という値段の変更を行ったところ、面白い結果が出た。

合計DL数:199 昨年3月から12月23日までのDL数(有料DL数):104 12月24日から30日までのDL数  (無料DL数):95

mStacksは、無料Webサービス「StackStockBooks」をiPhoneクライアントで利用するために 作成したユーティリティで、Webサービス開発元とは違う第三者がクライアントを作り 販売をしている。 そしてそのユーザー層というのは 1.Webサービスのユーザーである 2.iPhoneユーザーである という相当ニッチなところをねらったアプリであることは自覚していた。ハズだった。

しかし、上記結果を見ているとそうではない 有料DL数が1年たつかなというあたりで100を超えたがこんなものだろうと思っていた。 しかし、無料にした6日間でほぼ同数のアプリがDLされたのだ。さらに日毎のデータを見ると、だいたい10以上のDL数があったことから、1日増やして1週間の期間を設定していたら、おそらく有料DL数を超していただろう

有料でも購入してもらったユーザーというのはおそらく上記ユーザー層の2つをクリアした Webサービスのヘビーユーザーであり、iPhoneのヘビーユーザーであるというユーザーなのだろう。 そして、無料をDLしたユーザーは 1.iPhoneユーザーだが、無料だ(値下げした)からとりあえずDLした 2.Webサービスのユーザーだが、有料では魅力を感じず購入をためらっていた 3.今まで存在を知らなかったが、値下げ通知サービス(Twitter連携から単体アプリまでいろいろあるね)を通じて存在を知った(結果的にプロモーションになった) といったところだろうか。

前述した通り、僕はこのアプリをAppStoreにリリースする際にプロモートは一切していない。だが、3で言及した通り、結果的に広告となり、DL数の増加につながったというのは ありうる話だと思う。 販売実績の2倍のユーザーが潜在的に存在する以上、当たり前の話なのだと思うが、リリースする際はきちんとプロモートした方が良い。(個人がどうやってやるか。というのは大事な話だがここではしない) 最初高額でリリースしておき、時期を見て値下げをすることにより、そういった通知サービスでプロモーションをかけて販売を促進するという方法もあるのだろう。

1、2のユーザーの話をしよう。 このユーザーの思考というのはどういうものなのだろうか。 ・こんな機能のアプリに115円(AppStore最低料金)も払いたくない。 ・こんなデザインのアプリに115円も払いたくない。 ・アプリにお金を出したくない。 ・Webサービスは無料なのにクライアントが有料とはどういうことだ。 一番大事なのはこういったユーザーにどうリーチしながらアプリを開発していくか。 上2つのユーザーは機能、デザインが良ければ即売上につながるだろう。

問題は後2つ。基本的にはタダがいい。 おっしゃるとおり、当たり前の話である。それでみんながハッピーになれば。 実際、Lite版を機能制限などをかけてお試しという位置づけで出しているところもあるし、 無料アプリで素晴らしいものは沢山ある。よく見るとどこかしら金が入る仕掛けを作っているが。 このユーザーにリーチするには流行、人気、ランキング入り等あるとおもうが、 ベースとなるサービス・システムをきちんと構築し、クライアントアプリが無料でも別で対価を得られるようにしていくことがいいのではないかと考えている。 また、そういったユーザーをどう取り込んでいくか。を考えたアプリの企画をしっかりするよう、次のアプリでは考えていきたいと思っている。

アプリの単価が下がっているといわれているiPhoneアプリ市場。 また、価格を自由につけられるからといって、機能に見合わない価格をつけたり、確実に赤字となるような価格設定をしてしまうと後発する開発者にとって魅力のない市場が出来上がってしまう。大量にDLしてもらうことでそれをカバーするというのもあるのかもしれないが、人気のあるジャンルは価格が下がり(大量消費)、ニッチなところは高額などというものも出てくるかもしれない(ロングテールみたいな) 遊びでやっているのであればそれでもいいかもしれないが、無料ユーザーにしっかりリーチしていき、単価を押しとどめて行かなければiPhoneアプリの開発に手をだす人がいなくなり、果てはiPhoneまでなくなってしまう可能性だってあるのだから。

しかし、あの小さな市場の中だけでも現在起こりうる様々な経済的事象を見て取れるのは なかなか面白かったりもするのだけど。


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